長野まゆみさんにどっぷり

書籍との偶然の出会いというのはほんのりと胸の奥が温かくなるような喜びをくれます。

僕は以前から歌手で声優の坂本真綾さんの大ファンですが、真綾さんのアルバムに「少年アリス」というのがあって、この作品が僕は特に好きなのであります。

先日、映画を見るのに少し時間が空き、書店であてどなく時間をつぶしていたら、文庫のコーナーで背表紙に佇む「少年アリス」の文字が目に飛び込んできました。長野まゆみさんの小説「少年アリス」です。

あまりにも今更で大変恥ずかしいのですが、わたくし、実にこの瞬間まで長野まゆみさんのことを全く存じ上げませんでした。坂本真綾さんの「少年アリス」はいわゆるヘビーローテーション状態で聞き耽るほど好きなのですが、同名の小説が存在することは全く知りませんでした。

迷わず手に取り、購入しました。

映画を見るまでの暇つぶしとして書店に行ったのですが、早く映画を見終えて読み始めたいと思い始めていました。

映画を見終え、帰りの電車で読み始めたのですが、最初の数行でもうはまりました。なぜこれを今まで知らなかったのかと思うほどど真ん中に突き刺さり、一気に惹きこまれました。

映画はレイトショーだったので帰宅したのは夜もだいぶ遅い時間でしたが、さっさと風呂に入り、上がってからも読み耽り、一息におしまいまで読み切ってしまいました。

翌日、再び書店に行って文庫を何冊か買ってきました。

もともと好きだった稲垣足穂や宮沢賢治のような耽美的な世界が広がるその作風が心地よく、時間を忘れて耽ってしまいます。アリスが導いてくれた出会いに感謝です。

こちらは真綾さんの「少年アリス」。長野まゆみさんのアリスと共通点があるとすれば、それは「あやうさ」ではないかと感じます。なるほど少年というのはあやういものなのだなということを改めて感じさせられますね。かつて少年だったはずの私はしかし、こうした美しさを伴うあやうさではなく、もっと攻撃的で破滅的なあやうさを伴っていたように思います。